体の地図作り

2002.12.03.

腕の関節はいくつありますか?
三つですか? 四つではありませんか?
横隔膜がどの辺りの位置にあるか指せますか?
肺のてっぺんは鎖骨よりも上にあるのを知っていますか?
膝の関節はどこにありますか? 膝小僧の裏でしょうか?
膝小僧の下のほうではありませんか?
足首を絵に描くとしたらどんな形を描きますか?
L字形ですか? C字形ですか? 逆T字形ですか?

「腕に含まれるものは、鎖骨、肩胛骨、上腕の骨、下腕の2本の骨、手首、手であることに気づきましょう」
鎖骨と肩胛骨を腕に含めて考えると、腕の関節は三つではなく四つになります。私たちが“腕”と呼んで動かしている部分は、肩関節で胴体とつながっているのではありません。腕は肩関節から鎖骨を経由して胸鎖関節で胴体(胸骨)につながっているのです。腕の根っこは肩ではなく、胸にあります。
最近TVで二足歩行ロボットを見かけますが、あのロボットの腕の構造と人間の腕の構造はまったく違います。ロボットの腕は関節が三つで、肩関節は胴体に固定されています。人間の肩関節は胴体に固定されていません。肩胛骨は上下左右にスライドし、肩が大きく動かせるようにできています。
ロボットの構造をイメージして腕を動かすのと、人間のような構造をイメージして腕を動かすのとでは、どちらが楽でしょうか。

背中のでこぼこは背骨でしょうか。背骨には違いありませんが背骨の本体ではありません。背中のでこぼこは「棘(きょく)突起」です。背骨の本体、つまり「椎体」と「椎間板」の交互の重なりは、背中のでこぼこよりもずっと内に入ったところにあります。
背中のでこぼこは体重を支えていません。体重を支えているのは、背骨の前側の「椎体」と「椎間板」です。椎体の後ろには、神経が通っている「椎孔」と呼ばれる穴があり、その穴の後ろに「棘突起」があります。

では、背骨の周囲はどうなっているでしょうか。
「胴体の層には美しい対称があります。前から後ろへ、そして後ろから前へ:皮膚−運動の筋肉−姿勢の筋肉−脊椎−姿勢の筋肉−運動の筋肉−皮膚。肝臓や心臓や子宮がそれらの間に押し込められています。」
運動のための筋肉を姿勢を維持するために使ってはいないでしょうか。

首について、肩について、腕について、胸について、背中について、骨盤について、脚について、膝について、足について、体のいろいろな部分について、正確な地図を用意しましょう。知識として。そして、感覚として。

同じ著者による『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』(誠信書房)は、音楽家を対象にして書かれていますが、基本的なポイントは下記の本とまったく同じです。

アレクサンダー・テクニークの学び方 『アレクサンダー・テクニークの学び方−体の地図作り』
著者: バーバラ・コナブル + ウィリアム・コナブル
訳者: 片桐ユズル + 小山千栄
出版社: 誠信書房  定価: 2,625円(税込)

「(1)首の緊張は、骨格全体における骨と骨の関係を歪め、骨格全体の能力がそこなわれ、体重をうまく配分することができなくなります。
(2)首の緊張は、随意運動をサポートする不随意筋に干渉します。
(中略)随意的な活動は私たちが直接に経験しているものです。水の入ったグラスに腕をのばすとき、自分が腕を動かしているのを私は知っているし、明らかに動いている感覚を動きとして感じることができます。しかし、私が間接的にしか感じることができないのは、グラスに腕を伸ばすあいだ自分を直立させている不随意筋肉の活動です。ちょうど心臓の鼓動や横隔膜の浮き沈みを間接的にしか感じられないのと同じです。 」
(「第1章 アレクサンダー・テクニークの勉強にようこそ」より)

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