『カモメに飛ぶことを教えた猫』

2006.10.8.

この本のことは、以前フェルデンクライス・メソッドのATMレッスンを受けていた先生のホームページ(こちらのサイト)で知った。

なぜ、自分でも読んでみる気になったかというと、本書の次の一節が紹介されていたからだと思う。

みんなこのときを、待ちわびていたのだ。猫だけが持ち合わせているすぐれた忍耐力のありったけで、若いカモメが飛びたいと自分から言い出すのを、待ち続けてきた。飛ぶためには、本人の決心が何より大切だということを、彼らはその叡智で知っていたからだ。

主人公猫のゾルバ(ふとった真っ黒な猫)とその仲間たちは、協力してカモメのひなを育てる。ある日、ゾルバが住んでいる家のバルコニーに、瀕死の母親カモメが飛び込んできて、ゾルバと3つの約束を交わしたのだ。

「どうか、わたしが産む卵は食べないと、約束してください」カモメは、目をしっかり開いて言った。
「約束する。卵は食べない」
「そしてひなが生まれるまで、その卵のめんどうを見てください」頭を起こして、カモメは続ける。
「約束する。ひなが生まれるまで、その卵のめんどうを見る」ゾルバがこたえる。
「最後に、ひなに飛ぶことを教えてやると、約束してください」カモメは、ゾルバの瞳をじっと見つめて言った。


この作品は、1996年に出版され、ヨーロッパでは<八歳から八十八歳までの若者のための小説>とうたわれ、大ベストセラーになったという。
日本語版はフランス語版から翻訳されている。
1998年には日本でも単行本が出版され、大勢の若者に愛読されている。現在は、新書版で気軽に手に取ることができる。

著者のルイス・セプルベダは、1949年に南米のチリで生まれる。青年時代には社会主義運動に参加していた。1973年、アジェンデ社会主義政権を倒したピノチェト将軍による軍事クーデタの後に逮捕され、投獄される。942日間の服役の後、アムネスティの尽力により釈放された。
1980年からドイツのハンブルグに移り住み、ジャーナリスト・作家活動を始める。

さて、すでに予想されているとおり、最後にカモメは飛ぶ。
(この結果を書いたからと言って、非難はされないですよね?)

では、どうやって猫がカモメに飛ぶことを教えるのか、、、
 塀から飛び降りて?
 科学的トレーニングで?
 メンタルトレーニングで?
 根性で?
 気の力で?
 このホームページを見て?(←ありえない)
 ?

それは、読書の秋のお楽しみにしていただきたい。

ほどよいユーモアと批判精神がちりばめられた作品である。
シンプルなストーリーで、読者それぞれの感性、考え方に応じた読み方ができるというところが、ヨーロッパ各国の老若男女に受け入れられた理由なのだろう。




カモメに飛ぶことを教えた猫 『カモメに飛ぶことを教えた猫』
著 者: ルイス・セプルベダ
訳 者: 河野 万里子
発 売: 白水社(白水Uブックス)
定 価: 840円(税込)


「いや、おかしくはない。ぼくはただ、港の猫の名誉を守り抜こうとしているだけだ。ぼくは臨終のカモメに、ひなに飛ぶことを教えると約束した。その約束をはたそうとしているだけだ。どうすればいいのかはまだわからない。でも、約束は、きっとはたす」


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お断り:
本書は、フェルデンクライス・メソッドとは直接の関係はありません。
本書を読んだからと言って、フェルデンクライス・メソッドに開眼するというようなことは起こりません。
また、太極拳やテニス、ゴルフなどが突然うまくなるというような効果も期待できませんので、あらかじめお断りを申し上げます。